ベビーカーが積めるかどうかは、カタログの荷室容量を見ても分かりません。数字上は十分でも、開口部の形が合わなければ入らないからです。
しかも本当の問題は「入るかどうか」ではありません。ベビーカーを積んだ状態で、買い物の荷物も入るか——毎日直面するのはこちらです。
このページでは、ベビーカーと車の相性をどう見極めるかを、ボディタイプ別に整理します。
結論:見るべきは荷室容量ではなく「開口部の形」と「残りの空間」
ベビーカーが積めるかを決めるのは、次の3つです。
①開口部の高さと幅。畳んだベビーカーは細長い形になります。荷室の入り口が低いと、斜めに入れるか一度持ち上げる必要が出てきます。毎日となると、これが地味に効いてきます。
②荷室の奥行きではなく「床から天井まで」。A型ベビーカーは畳んでも厚みが残るため、立てて積むご家庭が多くなります。このとき効いてくるのは高さです。
③積んだ後に残るスペース。ベビーカーが入っても、その横に買い物袋を置けなければ意味がありません。「ベビーカー+買い物袋2つ」が入るかを基準にしてください。
カタログの荷室容量(リットル表記)は、この3つのどれも教えてくれません。数字より形です。
ベビーカーのタイプで難易度が変わる
一括りに「ベビーカー」と言っても、積載の難易度はかなり違います。
A型(生後1か月〜)
新生児から使える大型のタイプです。クッション性が高く安定している一方、畳んでもかさばります。
車選びで問題になるのはほぼこのタイプです。とくに両対面式は構造上厚みが出るため、コンパクトカーの荷室では場所を取ります。
B型(生後7か月頃〜)
軽量・コンパクトに畳めるタイプです。ほとんどの車で問題になりません。
上の子がB型に移行すると、車の制約は一気に緩みます。
バギー・三輪タイプ
折りたたんでも横幅が残るタイプや、タイヤが大きいタイプは要注意です。荷室の開口部の幅がそのまま制約になります。
購入前に、実際に使っているベビーカーを持ち込んで試すのが唯一確実な方法です。
新車の納期が長いなら、登録済み未使用車という手もあります。
非公開の在庫を含めて、希望の条件で探してもらえます。
【比較表】ボディタイプ別・ベビーカーの積みやすさ
| ボディタイプ | 積みやすさ | 実際の使い勝手 |
|---|---|---|
| 軽スーパーハイトワゴン | ★★★★☆ | 開口部が高く縦に積める。ただし荷物との同時積載は苦しい |
| コンパクトカー | ★★☆☆☆ | A型だと荷室がほぼ埋まる。B型なら問題なし |
| ミドルサイズSUV | ★★★★★ | 開口部が広く高さもある。荷物との併載も余裕 |
| ステーションワゴン | ★★★★★ | 床が低く積み下ろしが楽。奥行きも十分 |
| ミニバン(3列目使用時) | ★★☆☆☆ | 3列目を立てると荷室が消える。畳めば最強 |
意外に思われるかもしれませんが、ベビーカー単体の積みやすさで最も有利なのはSUVとステーションワゴンです。開口部が大きく、荷室の形が素直なためです。
クロストレックやカローラクロス、カローラツーリングあたりは、この観点で個別に検証しています。
一方ミニバンは「3列目を使うかどうか」で評価が真逆になります。3列目を畳めば圧倒的に広い荷室になりますが、立てた状態ではベビーカーを置く場所すら怪しくなります。
軽自動車にベビーカーは積めるか
積めます。N-BOXやタントのようなスーパーハイトワゴンは天井が高く、ベビーカーを畳んで縦に立てて積めるため、意外に相性が良いのです。
後席を前にスライドさせれば荷室はさらに広がります。子どもが1人なら、日常の使い方で困ることはあまりありません。
ただし限界もあります。ベビーカーを積んだうえで、買い物の荷物も、さらに帰省の荷物も——という使い方には向きません。軽自動車は「人を乗せる」か「荷物を積む」かのどちらかに寄せる設計だからです。
軽で行けるかどうかの全体的な判断はファミリーカーに軽自動車はあり?恥ずかしいと感じたときの判断基準にまとめました。
子どもが2人になると前提が変わる
ベビーカーが2台になる、あるいはベビーカー+上の子の荷物、という状況になると難易度が跳ね上がります。
ベビーカー2台は現実的か
2台を同時に積むのは、ミニバンやミドルサイズSUVでなければ厳しくなります。ただし実際には、上の子がベビーカーを卒業する時期と下の子が生まれる時期がずれるため、2台が同時に必要な期間は限られます。
年子の場合は、二人乗りベビーカーという選択肢もあります。こちらは畳んでも大きいため、荷室の広さが一段と重要になります。
チャイルドシートとの兼ね合い
見落とされがちですが、後席にチャイルドシートを2台置くと、後席を前にスライドさせて荷室を広げる手が使えなくなります。
チャイルドシートの位置が固定されるぶん、荷室は「そのままの広さ」で使うことになります。ベビーカーの積載を考えるなら、チャイルドシート2台が無理なく載る車の選び方とセットで検討してください。
スライドドアかヒンジドアかで、積み下ろしの手順が変わる
ベビーカーの話をするとき荷室ばかりが注目されますが、ドアの形式も実際の手順に大きく影響します。
スライドドアの場合
子どもを先に後席へ乗せてから、ベビーカーを畳んで荷室へ回す、という順番が取れます。ドアを開けたまま作業できるので、風の強い日でも隣の車を気にせずに済みます。
電動スライドドアなら、子どもを抱えたままボタンひとつで開けられます。両手が塞がっている状況が日常的に発生するので、この差は想像以上に大きく感じられます。
ヒンジドアの場合
狭い駐車場では、ドアを全開にできません。半開きの状態で子どもを乗せ、その後ベビーカーを畳むという手順になり、動作が窮屈になります。
ただしSUVやワゴンは荷室そのものが広いため、ベビーカーを積む作業自体は楽です。「乗せ降ろしはスライドドア有利、荷室はSUV有利」という関係になっているわけです。
どちらを優先するか
子どもが自分で乗り降りできない時期は、スライドドアの価値が明確に上回ります。抱えて乗せる動作が毎日繰り返されるためです。
自分で乗り降りできるようになれば、荷室の広さのほうが効いてきます。買い替えのタイミングで優先順位が入れ替わる、と考えておくと選びやすくなります。
ベビーカーを積まないという選択肢
車選びを制約しているのがベビーカーだけなら、そもそも積まない方法も検討に値します。
抱っこ紐で済ませる
短時間の買い物なら、抱っこ紐のほうが早い場面は多くあります。ベビーカーを積む前提を外せると、選べる車が一気に広がります。
ただし子どもの体重が増えると負担が大きくなるため、いつまでも続けられる方法ではありません。
外出先のレンタルを使う
商業施設や動物園などでは、ベビーカーの貸し出しがあります。行き先が決まっているなら、これで足りることも少なくありません。
「毎日積む」のか「たまに積む」のかで、必要な荷室の広さはまったく変わります。ここを整理してから車を見に行くと、判断がぶれません。
軽量B型に買い替える
上の子がある程度大きくなっているなら、A型から軽量B型に切り替えるだけで問題が解決する場合があります。車を買い替えるより、ベビーカーを買い替えるほうが安く済む——という判断も十分あり得ます。
車の制約に合わせて道具を変える、という発想も持っておいてください。
販売店で確認すべきこと
実車確認のとき、次の順番で試してください。カタログでは判断できない部分です。
- いま使っているベビーカーを持ち込む——これに勝る確認方法はありません
- 畳む・積む・降ろすを1人でやってみる——片手で子どもを抱いた状態を想定する
- 積んだ横に買い物袋2つを置いてみる——毎日の基準はここ
- 荷室の床の高さを確認——高いと持ち上げる動作が毎回発生する
- 後席にチャイルドシートを置いた状態で試す——後席を動かせない前提で見る
とくに2つ目が重要です。展示車で店員さんに積んでもらうのではなく、自分でやってみてください。「できる」と「毎日ラクにできる」の差がここで分かります。
よくある質問
荷室容量が同じなら、どの車でも同じように積めますか?
積めません。荷室容量はリットルで表される「体積」ですが、ベビーカーは細長い固形物です。体積が足りていても、開口部の高さが足りなければ入りません。
数字が近い2台でも、実際の使い勝手はまったく違うことがあります。
後席にベビーカーを置くのはどうですか?
チャイルドシートを置いていない側の後席に立てかける方は実際にいます。ただし急ブレーキで前方に飛び出す危険があるため、おすすめできません。
やむを得ない場合でも、シートベルトで固定するなど動かない工夫をしてください。
ベビーカーが入らない車を買ってしまいました。対処法はありますか?
順に検討する価値があるのは、①軽量B型への買い替え、②ルーフボックスの追加、③後席の使い方の見直し、の3つです。
とくに②は、帰省など特定の場面だけ荷物が増えるケースに有効です。取り付け可否は車種によるため、販売店に確認してください。
試乗のときにベビーカーを持ち込んでも迷惑ではないですか?
まったく問題ありません。販売店側もよく受ける依頼です。事前に電話で伝えておけば、確認しやすいように準備してもらえることもあります。
遠慮して確認せずに契約するほうが、双方にとって不幸な結果になります。
まとめ:数字ではなく、毎日の動作で判断する
整理します。
- 荷室容量(リットル)ではなく、開口部の形と高さで決まる
- 基準は「入るか」ではなく「ベビーカー+買い物袋2つが入るか」
- A型は要注意、B型ならほぼ問題ない
- 単体の積みやすさはSUV・ステーションワゴンが有利
- 軽スーパーハイトワゴンは縦積みできるので意外に相性が良い
- チャイルドシートを置くと後席スライドが使えなくなる点に注意
ベビーカーの積み下ろしは、1日に何度も繰り返す動作です。年に数回の帰省より、こちらを優先して選んだほうが、生活の満足度は確実に上がります。
家族構成別の車選びは4人家族の車選びや3人家族の車選びもあわせてご覧ください。
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