子育て世代の試乗チェックリスト|カタログの数値では分からない6つを、30分で確かめる

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カタログの数値で候補を3台くらいまで絞ったら、次は実車です。ただし「乗ってみて気持ちよかった」だけで決めると、あとで困ります。

子育て世代にとって車の良し悪しを決めるのは、走りの質よりも毎日の乗せ降ろしと駐車です。そしてこの2つは、営業担当が用意してくれる試乗コースをぐるっと回るだけでは分かりません。

この記事では、30分の試乗で確かめておきたい6つを、具体的な手順として整理します。準備が要るものもあるので、予約の電話をかける前に読んでください。

目次

試乗で確かめるべきなのは、数値で分からないことだけ

まず前提です。諸元表で分かることを試乗で確かめる必要はありません。全高も全幅も定員もISOFIXの席数も、カタログを見れば分かります。限られた試乗時間をそこに使うのはもったいない話です。

試乗で確かめるべきなのは、数値と数値のあいだにあるものです。たとえば「室内高1,400mm」という数字は分かっても、その高さで自分がかがまずに子どもを抱えられるかは、やってみないと分かりません。「ISOFIXが左右2席」と分かっても、金具が奥まっていて手が入りにくいかどうかは書いてありません。

逆に言えば、数値の確認を先に済ませておくほど、試乗が濃くなります。候補が5台も6台もある状態で試乗を始めると、時間がいくらあっても足りません。

持っていくもの——これがないと確かめられない

手ぶらで行くと、確かめられることが半分になります。

いま使っているチャイルドシート。これがいちばん重要です。販売店にも展示用のものがある場合がありますが、製品ごとに大きさも形も違います。自分が使っている現物でないと意味がありません。「車に積んで持っていっていいですか」と予約時に伝えれば、まず断られません。

自宅駐車場の実測値。全高・全幅・全長、そして機械式なら重量制限。メモではなく写真で撮っておくと、営業担当に見せて相談できます。募集要項や管理規約に書いてあれば、その写真でも構いません。

ベビーカー。荷室に畳まずに入るかどうかは、実物でしか分かりません。車に積んでいるなら、そのまま持っていけます。

可能なら子ども本人。いちばん確実です。ただし試乗中は同乗できない場合もあるので、これは予約時に確認してください。乗せ降ろしの動作だけなら、停まった状態で試させてもらえます。

確かめること 持っていくもの 分かること
自宅の駐車場に入るか 駐車場の実測値(全高・全幅・全長) カタログ値との差、ミラーを含めた実際の余裕
チャイルドシートが付くか いま使っているチャイルドシート ISOFIXの位置、金具の入れやすさ、前席への干渉
子どもの乗せ降ろし 子ども本人(可能なら) 天井の高さ、開口部の広さ、大人の姿勢の無理さ
後席の様子が分かるか なし ミラーの死角、声の届き方、手が届く範囲
荷物が積めるか ベビーカー 畳まずに入るか、開口部の高さ
狭い場所での取り回し なし 切り返しの回数、車両感覚のつかみやすさ

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【1】自宅の駐車場に入るかを、その場で計算する

本当は自宅まで乗って行って入れてみるのが確実ですが、それが難しいことも多いはずです。その場合は販売店で数字を突き合わせます。

確認するのは4つです。全高・全幅・全長・車両重量。そして自宅の制限値と比べます。ここで重要なのが、カタログの全幅にドアミラーは含まれていないという点です。実際にはさらに片側15〜20cm程度張り出します。壁と壁のあいだが狭い車庫なら、ミラーをたたむ前提かどうかを決めておく必要があります。

もうひとつ、グレードによって数値が変わる車があることにも注意してください。同じ車種でも4WDだと全高が20mm高い、大径ホイールだと全幅が広い、といったことが起こります。見積もりを取る予定のグレードの数値で確認してください。

機械式立体駐車場を使う場合は、制限値ちょうどの車は避けたほうが無難です。立体駐車場に入るファミリーカーで書いたとおり、センサーが反応する、パレットとの隙間がないといった理由で断られることがあります。

【2】チャイルドシートを実際に取り付ける

ここが試乗のいちばんの山場です。展示車で構わないので、必ずやらせてもらってください。

確かめるのは4点あります。

ISOFIXの金具に手が届くか。金具は座席の背もたれと座面のすき間にあります。車によって奥まっていたり、シートの生地が硬くて指が入りにくかったりします。毎回この作業をするなら、ここは重要です。

カチッと入るまでの手応え。ISOFIXは正しく入れば手応えとインジケーターで分かりますが、角度が悪いと入りません。車の座面の傾きとチャイルドシートの相性が出ます。

取り付けたあと、前席がどこまで下がるか。後ろ向きのチャイルドシートは前後に長いので、前席を後ろに下げられなくなることがあります。運転する人の身長で、ここは変わります。実際に運転姿勢を取ってみてください。

2台載せる場合は、2台とも同時に。1台ずつなら入っても、2台並べると干渉することがあります。チャイルドシート2台が無理なく載る車で書いたとおり、後席の幅と製品の外寸の組み合わせで決まります。

【3】子どもの乗せ降ろしを、実際の動作でやってみる

子どもを連れて行ける場合は、抱えて乗せる動作をそのままやってみてください。連れて行けない場合も、チャイルドシートに何か重いものを置いて、腕を伸ばす動作だけでも試す価値があります。

見るのは自分の姿勢です。天井が低い車では、上半身を車内に入れるときに頭を下げます。開口部が狭い車では、体を斜めにします。この無理な姿勢を1日に何度も、何年も続けることになります。

腰に来るかどうかは、その場で分かります。数秒の動作でも「これはきついな」という感覚があれば、毎日やればもっときつくなります。

スライドドアの車なら、開けたときの開口部の広さも見てください。ヒンジドアの車なら、隣に車が停まっている想定で、半分しか開けられない状態を試してみてください。販売店の駐車場で、隣の枠に車がある場所を選ばせてもらえば再現できます。

【4】後席に座って、運転席との関係を確かめる

大人が後席に座ってみることも大事ですが、それ以上に大事なのが運転席から後席がどう見えるかです。

ルームミラーで後席の子どもの顔が見えるか。チャイルドシートを付けた状態だと、ヘッドレストや背もたれで視界が遮られることがあります。後ろ向きのチャイルドシートだと、そもそも顔が見えません。

声が届くかも確かめてください。3列シート車の3列目は、思っている以上に遠くなります。走行中はロードノイズも加わります。

手が届くかどうかも見ておきたい点です。信号待ちで飲み物を渡す、落としたおもちゃを拾う——この動作ができる距離かどうかで、運転中のストレスがかなり変わります。運転席から手を伸ばして、2列目のチャイルドシートに触れるか試してみてください。

【5】荷物を積んでみる

ベビーカーを持っていったなら、畳まずにそのまま入れてみてください。入るなら、雨の日に片手で子どもを抱えたまま積み込めます。畳まないと入らないなら、毎回その作業が発生します。

確かめるポイントは3つです。荷室の開口部の高さ(持ち上げる高さが低いほどラク)、バックドアを開けたときの必要スペース(跳ね上げ式は上に、横開きは後ろに場所が要ります)、そして3列目を使った状態で何が残るかです。

3列シート車の場合、3列目を使うと荷室がほとんど残らない車があります。「7人乗れる」と「7人乗って荷物も積める」はまったく別の話です。旅行や帰省を想定しているなら、ここは必ず確認してください。

【6】狭い場所で切り返してみる

試乗コースは、たいてい走りやすい道が選ばれています。それでは日常が再現できません。

お願いしたいのは2つです。ひとつは販売店の駐車場でバックの車庫入れを1回やらせてもらうこと。もうひとつは、可能なら近くの狭い道を通ってもらうことです。

見るのは、車両感覚がつかめるかどうかです。最小回転半径が同じでも、ボンネットの先が見える車と見えない車では、狭い場所での安心感がまったく違います。着座位置の高さ、Aピラー(フロントガラスの柱)の太さ、斜め後ろの視界——このあたりは数値では表せません。

最小回転半径の数値で候補を絞ってあれば、ここで確かめるのは「その数字が自分にとって扱えるか」だけで済みます。

販売店にどう頼めばいいか

ここまで読んで「そんなに頼んでいいのか」と思われたかもしれません。問題ありません。

予約の電話で、こう伝えれば十分です。「子どもがいるので、チャイルドシートを持ち込んで取り付けを試させてもらえますか」「駐車場のサイズが厳しいので、寸法を一緒に確認させてください」。目的を伝えれば、たいていの販売店は準備してくれます。

むしろ営業担当にとっても、こうした確認を先に済ませたお客のほうが話が早くなります。買ってから「駐車場に入らなかった」となるのは、売る側にとっても困る事態だからです。

それでも協力してもらえない場合は、その販売店とは長く付き合わないほうがいいというサインだと考えてください。車は買ってからのほうが付き合いが長くなります。

逆に、試乗で確かめなくていいこと

時間には限りがあります。試乗で見なくていいものを決めておくと、見るべきものに時間を回せます。

加速性能は、子育て世代の車選びではほとんど問題になりません。いまの車はどれも日常で不足しません。高速の合流で不安になるほど非力な車は、ファミリーカーの候補にはまず入ってきません。

最高速度やコーナリングも同様です。試乗コースで踏み込んで確かめる意味は薄く、子どもを乗せた運転とはかけ離れています。

内装の質感は、写真とショールームで判断できます。走らせながら見るものではありません。

燃費は試乗では分かりません。数kmの走行で出る数字はエアコンの使用状況や信号の数に左右されるので、参考になりません。カタログのWLTCモード値を見たほうが確実です。

そして諸元表に書いてあること全般です。全高、全幅、定員、ISOFIXの席数、スライドドアの有無——これらは行く前に済ませておく項目で、現地で確認するものではありません。

複数台を比べるなら、同じ日に、同じ順番で

2台、3台と候補がある場合、比べ方にコツがあります。

できるだけ同じ日にまとめて試乗してください。1週間空くと、前の車の感覚を忘れます。「広いと感じた」といった印象は、比較対象があってはじめて意味を持ちます。日をまたぐと、記憶のなかで美化されたり、逆に不当に低く評価されたりします。

確認する順番も揃えてください。1台目でチャイルドシートを付けてから乗せ降ろしを試したなら、2台目も同じ順番でやります。順番が違うと、疲れ具合や慣れの差が結果に混ざります。

その場でメモを取ることも重要です。3台見たあとでは、どれがどうだったか混ざります。スマートフォンで、確認項目ごとに写真と一言メモを残しておくと、家で見返せます。とくにチャイルドシートを取り付けた状態の写真は、あとで効きます。

そしてその日のうちに決めないでください。販売店では気持ちが高ぶります。持ち帰って、数値と写真を並べて冷静に比べる時間を取ってください。今日確認した内容は、明日も変わりません。

よくある質問

Q. 試乗はどれくらいの時間を見ておけばいいですか?
走行だけなら15分程度ですが、この記事の確認をすべてやるなら1台あたり40分から1時間を見てください。走らせるより、停まった状態での確認のほうが時間がかかります。

Q. 子どもを連れて行くと落ち着いて見られません
1回目は大人だけで行って車を絞り、2回目に子どもとチャイルドシートを持って行く、という分け方が現実的です。最終候補の1〜2台だけ、子ども込みで確認すれば足ります。

Q. 展示車と試乗車でグレードが違う場合は?
確認したい項目によります。チャイルドシートの取り付けや室内の広さは、グレードが違っても大きくは変わりません。ただし全高・全幅とシートの形状はグレードで変わることがあるので、契約するグレードの数値は諸元表で押さえてください。

Q. 中古車でも同じことを確認できますか?
できますし、中古のほうがむしろ重要です。年式によって装備が違うため、ISOFIXの有無や後席の警告装備を個体ごとに確認する必要があります。中古車の買い方で確認する順番を整理しています。

Q. 数値で絞る段階からやり直したいのですが
ファミリーカーの選び方に、公式諸元で決まる7つの判断軸と、絞る順番をまとめています。

※本記事は試乗時の確認手順をまとめたものです。車両の寸法・装備はグレードや年次改良で変わるため、契約前に必ず最新のカタログでご確認ください。

燃費は試乗では分かりません。カタログの見方はカタログ燃費は送迎中心の家庭に当てはまらない|WLTCの市街地モードで見直すで公式の記載を並べて確認しています。

気になる車が絞れてきたら、実際の在庫を見てみると具体的になります。

非公開の在庫を含めて、希望の条件で探してもらえます。

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